「仙台は地震に強い街だ」と、今回仙台に来てから何人もの人から聞きました。1978年に起きた宮城県沖地震によって、弱い構造の建物は壊れてしまい、新たに建てられた建物はきちんと耐震対策が取られているとのことでした。確かに、仙台を始め、様々な市町村に入って感じるのは、「本当にここでM9の地震があったのか?」と思うほど、建物が壊れていないということです。もちろん建物の中は、例えば家庭では食器や本をはじめとするありとあらゆる物が落ちてきて大変な状態になってしまったわけですが、外から見てわかる傷跡は、家電販売店大型店舗の壁に開いた穴や、ビルのタイルのがれぐらいです。
ところが、津波をかぶった地域に行くとその様相は一転します。ヘドロによって覆い尽くされた地面。そのにおい。重機によって道路脇に寄せられた、延々と続く車の壁はまさに「車の墓地」。なにより、通っていく車以外には全く人の気配がないそのヘドロとがれきで埋まった街の雰囲気は、そこにいる者を何とも表現しがたい気持ちに陥れます。外からやって来た自分ですらそう感じるのだから、ここに住んできた人々の苦しみはいかほどでしょう。
私たちがやろうとしているのは、ここに元々住んでいた人たちが、多くの人とのつながりのうちに自分の暮らしを取り戻し、豊かな人生を送るために寄り添い、手伝うことです。
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仙台市内のビルと、隣の多賀城市の津波被災地区
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仙台教区サポートセンターの発足
震災5日後の3月16日、仙台教区長平賀司教、カリタスジャパン責任司教の菊地司教、今回やはり被害を受けたさいたま教区の谷司教、仙台教区事務局長の小松神父、カリタスジャパン援助部会秘書成井、カリタスジャパン事務局稲江が仙台教区事務局で会談し、その場で、「仙台教区サポートセンター」(以下、仙台教区SC)を立ち上げました。
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| 今後の取り組みについて話し合う司教たち |
この仙台教区SCは、平賀司教をセンター長とする教区の枠組みで、センター長補佐を小松神父、事務局長を成井、事務局にカリタスジャパンスタッフ、また教区内外からのボランティアが詰め、運営しています。活動期間は3月16日か
ら9月15日とされましたが、これはあくまで区切りであって、活動は数年にわたるものと思われます。なお、仙台教区SC事務局担当として、カリタスジャパンがスタッフを派遣することが確認されました。
活動の目的と内容
仙台教区SCは、カリタスジャパンにお寄せいただいた募金を基に、広く社会一般に対する支援活動を行います。教会をベースに活動を行いますが、その活動は公共性が高いものとなっています。
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| 道路の清掃作業 |
ボランティアの受け入れと派遣
仙台教区SCは、活動の初期段階において、ボランティアの受け入れと派遣を活動の一つの柱として設定しました。私たちが活動を始めた16日に、自衛隊が避難所における物資の配給を始め、少なくとも仙台市内の避難所における物資のニーズは急速に充足されていきました。18日には他の市でも自衛隊の配給が始まりました。
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| ボランティアの出動風景 |
そのような中、多くのNGOがやはり物資配布を中心とした活動を行いましたが、私たちはむしろ、人を現場に送ることを柱としました。震災直後に物資が必要なのは当然ですが、それと同時に、津波被害にあった人が一刻も早く生活を立て直すことで、今度はその人たちが周りの人を助けることができるようになるのです。また、仙台教区は沿岸部にいくつもの教会を持っていますが、幸いなことに地震や津波による被害は軽いものでした。そのため、教会をベース(ボランティアが生活拠点とする宿泊所)としてボランティアを現地に送り出すことが比較的容易に実現できたのです。
ボランティア活動は、そのほとんどが一般家庭や小さな会社事務所に入ってきたヘドロのかき出しと壊れた家具の運び出しです。3月20日に受け入れを始め、4月10日現在で300人を超えるボランティアを受け入れ、送り出してきました。そのほとんどが県外からの方々です。今のところ、塩竃市、石巻市、釜石市にボランティアベースを設置しています。
物資の配布
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| 物資を積んで出発 |
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| 送られてきた物資 |
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| 平賀司教に活動の報告 |
もちろん、物資の配布も実施しています。しかし、自衛隊が大量に物資を投入する中での物資支援は実に難しく、半日単位でニーズ情報が変化していく中の対応となりました。例えば、初期の頃はおむつや生理用品、毛布が足りないという情報が出回りましたが、それ避難所で品薄となったのはほんの一時期で、後は倉庫に山積み状態となりました。お米やレトルト食品なども同じです。それで私たちは、1)教会を物資配給ベースとし、近隣の被災者の方々に、必要な ものを持っていってもらう、2)千人単位のニーズを満たせる分量を確保した上で、避難所でニーズに合うもの、例えば下着などを配布する、3)教会のネットワークを通じた支援、例えば今回の津波で多くの保育所が流されてしまいましたが、残った保育所には急に多くの子どもたちが預けられることになります。そうした施設で働く信徒の情報を基に、子ども用布団などの支援を行いました。
こうした、迅速な対応が求められる物資の配布の成功のカギは、いかに情報を集め、素早く必要なものを手に入れるかにありますが、こういうときにこそカトリック教会のネットワークが生きてきます。小教区、信徒単位で物資のニーズ情報を交換し、仙台で手に入らないものについては山形教会の本間神父様が何度も山形仙台間を往復して届けてくださいました。また、多くの方が要請に応えて物資を直接仙台まで届けてくださいました。私たちは「つながっている」と実感する時です。
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