| カリタスが全世界で取り組んでいる貧困や平和などの問題には、ただお金や戦争がないというだけでなく、教育、医療、社会保障などへのアクセスが無かったり、人種、信条、性別などによる差別があったりと、実に様々な顔があります。お金があって戦争が無くても、病院がなかったり、学校がなかったり、選挙権がなかったりしたら、やはり人として尊厳のある生活はできないからです。
たとえば、カリタスジャパンが支援しているバングラデシュのチッタゴンに住む少数民族は、宗教、民族、文化、言葉、歴史など多くの点で多数派のベンガル人と異なった背景を持っています。彼らには学校や病院へのアクセスが無く、文字を読めないために役所を通じた様々なサービスも実質受けることができません。逆に長年住んできた土地も、役所で登記をしていないために、いきなり追い出されてしまうことが多々あります。結果、山脈の奥へ奥へと追いやられ、ますます社会サービスから遠ざかっていくのです。まさに貧困のまっただ中で、平和からかけ離れた生活を送っています。 |

小学校で学ぶチッタゴンの子どもたちと、銃を持って監視する係官
©カリタスジャパン
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この少数民族の人々は、英国統治時代からある程度の自治権を持っていました。しかしパキスタン時代、バングラデシュが独立してから現在に至るまでも、彼らの地域における権利は弱まるばかりで、むしろ上記の通り、搾取の対象となっています。そうした歴史の中で少数民族の人たちは、度々政府と武力衝突を繰り返してきました。私たちが視察を行った2008年2月も、チッタゴン地域内では24時間軍隊が私たちの行くところ全てついて回りました。現在でもそれほどの緊張があるのです。 |
| こうした状況の中、カリタスは少数民族の子供たちを対象とした初等教育支援を行っています。これによって人々は文字が読めるようになり、民族独自の知恵や知識だけでなくバングラデシュの一般的な教養をも身につけることができるわけですが、そのことは役所における土地の登記をはじめとする様々な社会サービスへと道を開きます。また、小学校を卒業してから中学に進む子もごく少数ですがいます。町のカトリック教会に設置される寮に泊まって通うのです。彼らは学校でベンガル人とともに学びますので、互いの民族の架け橋になっていきます。こうして彼らは、自分たちが望む社会を、自分たちの手で少しずつ形にしていきます。平和な社会はこのように、人としての基本的な必要(ここでは教育)を実現することを通して、当事者たちによって構築されていくのです。カリタスは、日本の皆さんとチッタゴンの少数民族を結ぶ架け橋です。これからも、平和のパートナーとして多くの人とともに歩んでいけることを祈っています。 |