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カリタスジャパンニュース
連算発行番号 Caritas Japan News No.281


視察報告



ダルフール紛争について
 ダルフールとは、「フール人の土地」という意味で、北アフリカの国スーダン西部に位置する地方のことです。スーダンはアフリカ最大の国で、ダルフールの面積だけでも日本の1.5倍あります。600万ほどの様々な民族の人が住んでいますが、彼らは社会的にも経済的にも助け合いながら長い間共存していました。
 しかし、1980年代にアフリカを襲った干ばつがこれに変化をもたらします。砂漠化の影響で、水と牧草地を求めるアラブ系遊牧民が、アフリカ系住民の居住地に接近し、緊張が高まったのです。これを、当時別の紛争(以前から続くスーダンの南北紛争)を抱えていてダルフールまで手の回らなかった政府は、アラブ系民兵を使って鎮圧しようとしました。これに対し、もともと北部(アラブ系)政権のアラブ系優遇や、ダルフールの疎外などに不満を募らせていたアフリカ系先住民から成る2つの反政府組織が、2003年武装蜂起します。政府はこれに大規模な空爆で応じると共に、政府の支援を受けたアラブ系民兵組織が、地域のアフリカ系住民の大量虐殺を行いました。2006年には和平合意が結ばれましたが、その頃には反政府勢力が数十グループに分かれ、状況がより複雑化していて、合意以降は逆に治安が悪化するなど事態は進展を見せていません。これまでに30万人以上が殺され、470万人以上が難民や国内避難民となり、今もキャンプ生活を送っています。
 一般に、「アラブ系によるアフリカ系の民族浄化」と形容されるダルフール紛争ですが、問題の構造はそんなに単純なものではないようです。上述の背景に加え、非正規軍どうしの闘いであるため制御が利きにくいこと、現状にそぐわない国境線の影響で、同じ民族・部族が複数の国にまたがっているというアフリカの事情(スーダンはチャドと国境を接していますが、互いの国内で活動する反政府勢力を、互いの国が支援していると、両政府は非難しあっています)。近隣諸国からの武器の流入、などの要因もあります。さらに、そもそもの「貧しさ」から脱出する現実的な選択肢が、傭兵となることであるという現状も、根本的な問題であると考えられます。

ダルフール国内避難民支援プログラム
 このような中、国際カリタスはACT(Action by ChurchesTogether)というプロテスタント・ギリシャ正教系の国際援助組織と共同で、2004年からダルフールの国内避難民支援プログラムを行っています。年間予算総額1千万USドル(10億円)を超える大規模プログラムで、カリタスジャパンも2004年より継続支援しています(昨年度実績5万USドル)。今回カリタスジャパンは、ダルフールの中心都市であるニャラ近郊の2つのキャンプと、チャド国境に近い小さな町ザリンゲイにある3つのキャンプを視察しました。

まだまだ避難民流入の絶えないキャンプ

 それぞれのキャンプの規模は2万〜10万人、キャンプによって新規避難民がまだまだ絶えないところ、半ば定住化しているところと様々でした。よって、それぞれの状況により、最も生命に関わる緊急支援が必要とされていたり、より社会開発的な支援が必要とされていたりとニーズも異なっています。実際ザリンゲイは紛争勃発後最初に避難民が出たところで、最も古いキャンプの一つですが、ここの住民はもう6年以上もキャンプ生活をしており、キャンプの中には市場まであるなど、すでにキャンプが新しい町として機能しているようでした。人々は口々に「帰りたい」と言いつつも、キャンプの外がまだまだ安全でないことや、実際帰っても、基本的な生活インフラも社会サービスも何ないこともよく分かっており、少なくとも最低限のニーズが満たされているキャンプでの生活に粛々と耐えているのが現状のようです。
 ACT /カリタスのダルフールプログラムでは、@水・衛生、A保健・栄養、B平和構築・保護・社会心理、C学校、D緊急事態対応、E農業の6つの分野において活動を行っています。水分野では、井戸を掘って電動ポンプで水をくみ上げ、それを各給水所へ送るシステムを各キャンプに作っています。一家族の一日の生活に最低限必要な清潔な水は供給されています。同時にキャンプでの衛生状態を清潔に保つため、ボランティアなどによる啓発活動も行われていました。

給水所に水を汲みに来た女性たち

 各キャンプには廉価で受診でき、薬をもらえるクリニックがあり、5歳以下の子どもが受けるべき予防接種も確実に実施されていました。クリニックは避難民と受け入れコミュニティ(もともとその場所に住んでいた)住民双方に開かれています。栄養センターでは母子の栄養管理を行っており、栄養不良と診断された場合には補給食(トウモロコシ・大豆の混合粉末)が与えられます。
 ある程度生活が落ち着いたキャンプでは、コミュニティセンターで職業訓練をはじめとする様々な活動が行われていました。避難生活を送る女性、男性、若者が、ミシン(裁縫)や溶接の講習を受けたり、グループでの収入創出活動やグループ貯蓄を始めたりしています。それぞれの活動はまだ初歩的な段階にありましたが、キャンプ生活が長引くとすれば、これからますます必要が高まり、大切になってくる活動です。
 「先の見えない」避難生活はそれだけで人々に大きなストレスを与え、そういった意味で避難民というのは最も脆弱な立場にある人たちだと言えます。外からの支援に依存しなければ生き延びることができない、というのは非常に厳しい状況です。が、彼らがいつか帰還できるその日まで、人道援助の現場では、刻々と変化する状況に柔軟に対応しつつ、彼らの必要に応えていくという地道な努力が続けられています。カリタスジャパンは引き続きこのプログラムを通してダルフールの人々を支援していきます。 

(事務局:小野亜衣子)
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