We are Caritas No.31

 

We are Caritas No.31(2025年冬号)ができました
ご希望のかた(無料)は、事務局までお知らせ下さい。

We are Caritas31号は、クリスマス特集号です。内面には、本年度のカリタスジャパンの支援に関連する写真を12月1日から24日までのアドベントカレンダー形式で縦型に配置しています。写真の下には、支援先の皆さんの声、回勅『ラウダート・シ』(LS)、『兄弟の皆さん』(FT)、教皇メッセージなどの言葉*や、カリタス活動を実践する人々の姿や話を掲載しています。
*抜粋とし、中略、「」等の省略、項目内の順序入替などを行っている箇所があります。

【お詫び】本紙に回勅名と略称の記載がございませんでした。
以下に改めて記載し、心よりお詫び申し上げます。
LS:『ラウダート・シ』  FT:『兄弟の皆さん』

 

巻頭言

今年は、ルイス・デ・アルメイダの生誕500周年です。

彼は西洋式の病院を豊後府内(現在の大分市)で開設し、当時の最先端の医術をしました。彼は、貿易商として富を築きましたが、何よりも国王から与えられた医師の免許を取得して、1552年来日しました。当時、府内の街頭には孤児があふれ、また、いわゆる「嬰児殺し」が行われている光景を目の当たりにします。彼は、領主大友宗麟の庇護のもと、育児院をはじめ病院、ハンセン病のケア施設を私財を投じて造りました。

アルメイダがもたらしたものは、西洋の高度な医療技術でしたが、それ以上に大切な点は、「貧しい人々、病者にしたことはキリストにしたこと」という信仰に基づく生き方を伝えたことです。当時、ハンセン病者は、病による身体的苦しみだけではなく、偏見、差別を受け、人間としての尊厳を奪われました。そのような彼らを保護する施設が建てられ、患者を献身的にケアする人々の姿は、大きな驚きの眼をもって見られたはずです。

「今日、ダビデの町に救い主がお生まれになった」

イエス誕生時も、キリシタンの時代も同じように誰からも顧みられず、生きる希望を失った人々がいました。それは現代も同様です。イエスとは「神は救う」という意味ですが、救いの業は、幼子イエスに始まり、多くの宣教師を通じて、今を生きる私たちに伝わっています。私たちはそれを実行するために、信仰の恵みをいただきました。ともに愛と慈悲の業を実行していきましょう。

森山信三(カリタスジャパン担当司教)

 

 カリタスジャパン アドベントカレンダー2025

アドベントカレンダー(以下のテキスト付)PDF ダウンロードはこちらから

12月1日:両親を亡くしたイリーナ(仮名15歳)は、ヴォルイニ地方の小さな村で、祖母を助けて暮らしており、カリタスから食料と衛生キット、そして暖かい毛布を受け取りました。物質的支援は重要ですが、最も重要なのはコミュニケーション、そして希望と愛、支え。そして温かさを取り戻すことです。カリタスは彼女を子ども向けスペースに招待しました。そこで彼女は心を開いて新しい友達を作り、孤独感を克服し始めました。
【写真】カリタススぺス-ウクライナの支援を受けたイリーナ©Caritas-Spes Ukraine

12月2日:「“違法な”人間なんてこの世にいない。」<南部アフリカ司教協議会移住労働・難民・人身取引委員会シスターネイデの言葉>
【写真】無国籍の人、子どもの国籍回復のための支援ポスター©Caritas Aliwal North

12月3日:人としての尊厳は、境遇に基づくものではなく、その人の存在という価値に根拠があるのです。<FT107>
【写真】カンボジア-タイ国境での軍事衝突により国内避難を強いられる人©Caritas Cambodia

12月4日:甚だしい環境の酷使と悪化は、資源を使い尽くすだけでなく、長きにわたって文化的なアイデンティティ、生きること、ともに暮らすことの意味へのセンスを育ててきた社会構造をも台無しにします。<LS145>
【写真】カリタスネパールの支援を通じて農業への情熱を持続可能な生計手段へと変えたカマラ・アディカリさん。そのコーヒー栽培は地域の女性たちにも希望と力を与えている。©Caritas Nepal

12月5日:「確かに、状況は壊滅的です。しかし、カリタスでは、わたしたちはまだ希望を抱いています。それは深い信仰から生まれた内なる希望であり、皆さんの祈り、連帯のメッセージ、そして愛によって支えられている希望です。」<カリタスエルサレム、アントン・アスファー事務局長の言葉>
【写真】WASHトレーニングを受けるガザの避難民©CRS

12月6日:自然そのものが、しばしば、経済的・政治的な利益を得るためのやり取りの道具、取引材料として扱われ、被造界は、生命にかかわる資源の支配をめぐる戦場へと変えられてしまいます。地雷が埋められた農地や森林、「焦土」作戦、水源を巡って勃発する争い、原料分配の不公平などが、もっとも弱い立場におかれた住民を苦しめ、社会の安定そのものを脅かすのです。<2025年「被造物を大切にする世界祈願日」教皇メッセージ>
【写真】カリタスキルギスタン天文学キャンプの星空 ©Father Adam Malinowski/Caritas Kyrgyzstan

12月7日:異なる生活・文化の背景を持つ多様な人々の到来は、贈り物となるのです。<FT133>
【写真】ウクライナからの避難民への食料支援©福岡教区

12月8日:「いま17歳だけど、大学に進学して英語をもっと勉強したい。外国で勉強するにはどうしたらいいかな。」<カリタスキルギスタン天文学キャンプに参加した女子高校生の言葉>
【写真】カリタスキルギスタン天文学キャンプでの活動©カリタスジャパン

12月9日:カリタスクルナが推進する「バングラデシュにおける複雑な緊急事態プロジェクト」は、普通の壁を、変化をもたらす強力なツールへと変えました。鮮やかな壁画は通行人の注意を引き、重要なメッセージを伝え、空間を美しく彩るだけでなく、様々な課題についてコミュニティを巻き込む手段として機能し、目にするすべての人々に安全、回復力、そして希望のメッセージを届けています。
【写真】壁に描かれた啓発メッセージを見る人©Caritas Khulna

12月10日:あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。<ペトロ4・10>
【写真】危険な移住のリスクを軽減し、よりよく安全な未来を計画するための情報選択について授業を受ける生徒たち(ジャパ地方/ネパール)©Caritas Nepa

12月11日:助け合うには、対話が必要です。粘り強く勇気ある対話は、世界にとって、よりよく生きることに、目立たないながらも役に立っているのです。<FT198>
【写真】カリタスカーミヤンシケによる子ども支援プロジェクトのイベントを楽しむ子どもたち©Caritas international

12月12日:至るところで生じている不正義、国際法違反、民族の権利侵害、格差、そしてそれらを生み出す貪欲が、森林破壊、環境汚染、生物多様性の喪失を引き起こしています。人間の行動がもたらした気候変動によって、極端な自然現象は頻発し、激化しています。さらに、武力紛争が加える人間と生態系の破壊の中長期的な影響はいうまでもありません。<2025年「被造物を大切にする世界祈願日」教皇メッセージ>
【写真】洪水に見舞われたラオカイ省(ベトナム)©Caritas Internationalis

12月13日:救いを授かるのも告げ知らせるのも、かかわりを通してなのだということです。救いは、皆で一緒に生きるもの、ともにあかしするものです。<『シノドス流の教会』154>【写真】ガザに広がるシェルター©CRS

12月14日:あらゆるものは関係しており、わたしたち人間は、被造物一つ一つに向けられる神の愛によって結び合わされつつ、驚きに満ちた巡礼をともにする、兄弟姉妹として集められています。<LS92>
【写真】カリタスネパールの世界環境デーの催しで地球への思いや希望を表現する子どもたち©Caritas Nepal

12月15日:分かち合うことから兄弟愛が生まれることは、ご存じのとおりです。施しは散発的なもの、他方、分かち合いは永続的なものです。<2021年「貧しい人のための世界祈願日」教皇メッセージ3>
【写真】子ども食堂でのひと時©カリタス南相馬

12月16日:相互配慮のささやかな言動を通してあふれ出る愛はまた、よりよい世界を造ろうとする一つ一つの行為において感じられます。社会に向かう愛は真の発展への鍵です。<LS231>
【写真】伝統的な豆類を紹介する展示会に参加した、持続可能な農業を実践するサガール、マンドラ地域(インド)の女性たち©Caritas India

12月17日:多様な宗教と文化、多彩な聖霊のたまものや共同体における役割、さらに、教会内にある年齢、性別、社会的帰属の違いは、それぞれが自分の偏りを認識してそれを受け入れるよう招いています。<『シノドス流の教会』42>
【写真】イラスト入りの十字架を作成する全国アボリジニ・トレス海峡諸島民カトリック評議会(NATSICC)©Tony Robertson/Caritas Australia

12月18日:人間的で兄弟的な社会とは、その人がベストの力を発揮できるよう、だれもが人生の旅路において寄り添いを得ることが、効率的かつ安定的に保障されるよう努める社会です。<FT110>
【写真】インクルーシブな環境で教育を受ける子ども©Caritas Internationalis

12月19日:希望を回復し、リノベーションを起こす方法は、孤立ではありません。親しさです。出会いの文化なのです。<FT30>
【写真】「じんのびカフェ」からプレゼント(全国から寄せられた言葉、クッキー、手作り品)を受け取った人©カリタスのとサポートセンター

12月20日:希望は、勘定を抜きにした寛大さの中にあふれ、債務者からの支払いに執心せず、自分の利益を案じずに、一つの目的だけを見据えています。倒れた人を立ち上がらせ、折れた心をいやし、いかなる形態であれ奴隷状態から解放するのです。<2025年「世界平和の日」教皇メッセージ10>
【写真】地域社会や避難民ボランティアなどの協力により、尊厳ある環境で過ごすスーダンの避難民©CAFOD

12月21日:人の移動が増加している理由はさまざまです。移民を受け入れる土地の住民もまた、新来者の受け入れに苦労しています。だれもが、多文化共生コミュニティを築くよう求められているのです。<『シノドス流の教会』112>
【写真】ナイル川を航行するスーダンからマラカル(南スーダン)へ向かう難民船©Philipp Spalek/Caritas international

12月22日:まことに、調和の文化を築くことは、思想だけでなく、具体的な経験を共有することを意味します。すなわち、諸宗教間の友愛の真の基準は、社会のもっとも脆弱な人々に奉仕するためにともに立ち上がることだと。<2025年9月バングラデシュでの諸宗教対話集会参加者への教皇メッセージ>
【写真】学生によるボランティア活動©カリタスのとサポートセンタ

12月23日:わたしたちには毎日、新たな機会、新たなステージが与えられます。<FT77>
【写真】ゴマ(コンゴ民主共和国)で、女性・女児のエンパワーメント支援により服の仕立てをして働く女性たち©CAFOD

12月24日:未来は、過去の過ちを乗り越えて進むための贈り物、平和への新たな道を築くための贈り物です。<2025年「世界平和の日」教皇メッセージ11>
【写真】ポルタヴァ(ウクライナ)の施設でウィンドキャッチャーをかざす子ども©Caritas international

 

国際カリタス「債務を希望に変えよう(Turn Debt into Hope)」キャンペーン-第9回アフリカ開発会議(TICAD)* 参加者からのメッセージ-

カリタスジャパンは、8月20日から22日に行われた本会議のブース展示にて、2025年のアフリカにおける支援と国際カリタスキャンペーン「債務を希望に変えよう(Turn Debt into Hope)」を紹介しました。カリタスジャパンのブースには、会議や講演の合間にその出席者や支援団体やビジネスの関係者、アフリカ文化に関心のある人々など国内外を問わず100人以上が訪れ、その半数ほどの方々からキャンペーンへのメッセージをいただきました。

債務超過に陥った約50か国のうちアフリカの国は30か国以上を占めています。終わらない紛争や気候変動の影響を跳ね返すために行った資金調達にかかる利子が更なる負債を生み、国はその負債返済に追われて多くの人々の最低限の生活も賄えない状況が拡大しています。キャンペーンは、聖年を記念して、その債務をなくして希望に変えようとするものです。

拍車のかかる気候変動が原因となって資源をめぐる競争を激化させ、人々を故郷から追い出すことで紛争を激化させています。債務正義だけでなく気候正義がなくては平和もありません。

こうした「負いきれない重荷」について考え、キャンペーンを身近な人々と共有していただき、引き続きカリタスの活動にご協力いただけますようお願い申し上げます。
(キャンペーン終了予定:2026年1月6日)

*アフリカ開発会議(TICAD):国連などの国際機関と日本が共同開催する、アフリカ自身のオーナーシップを尊重し、国際社会がパートナーとしてアフリカの開発を後押しする「パートナーシップ」の重視を掲げた国際会議です。

いただいたメッセージ(一部原文を私訳し掲載しています)

  • アフリカの国々をアフリカの人々の手で
  • 債務の軽減は、私たちだけの救いではありません。
  • それは人類全体への祝福であり、未来への希望です。
  • 一人ひとりの力が集まって、大きな力になる
  • 本当の意味の「自立」に向けて、私も、学びながら頑張ります!
  • 人生は何度もチャンスをくれる。
  • たったひとつのきっかけで、すべてが変わることもある。信頼、希望、平和。
  • 私たちの心に希望の灯をともしてくれてありがとう
  • 誰もが笑顔に値する。あなたがその笑顔を届ける人になれる。
  • その小さな笑顔が希望を呼び起こすかもしれない!笑顔を届けよう!
  • 主が憐れみを示してくださるように、私たちも互いに愛し合いましょう。
  • そしてともに歩むことで、債務を希望へと変えていくことができます。

 

 

ブースにて活動紹介動画を見る訪問者といただいたメッセージ©カリタスジャパン

 

クリスマス募金による支援から

タンザニア ムワンザ大司教区 ヴィタンドゴプロジェクト(小さな手をとって)

クリスマス募金よる支援の1つに、タンザニアのムワンザ大司教区カリタスでの小学校低学年の子どもたちに文字や数字の読み書きと計算能力を高めるプロジェクトがあります。この地域の多くは遊牧民の家庭で、子どもたちには小学校入学前から牛や山羊の世話が生活の一部であり、遠くの小学校に行く必要性を感じていない親もいます。そのような中、プロジェクトに参加した親子の声が寄せられました。(親子の写真すべて©Caritas Mwanza)


ニーマさん
わたしはニーマ、12歳です。両親はわたしを小学校に通わせるのはお金の無駄だと言っていたので、わたしはいつも台所や食事の手伝いをしていました。でも近所の子たちが制服を着て小学校に行く姿をみると、いつも自分は別なんだ、と感じていました。でもプロジェクトスタッフが両親に「教育は裕福な人たちのためのものではない。」と言って、プロジェクトの放課後クラスに誘ってくれました。
初めて英語で自己紹介ができた時、自分の体の中から力が湧いてきたことを実感しました。今では小学校にも通い、小学3年生です。本を読むのが好きで、夜は両親に本を読み聞かせています。両親は今では笑顔で「ニーマ、お前を誇りに思うよ。」と言ってくれます。わたしの将来の夢はジャーナリストになることです。わたしが育った村の話を伝えたいです。


エディナさん/エマニュエルさん
「この土地で長く暮らし、子どもたちの多くは家事と勉強の両立が困難であることを見てきました。エディナも勉強が大好きなのに小学校はかなり遠くにあり、通学させるのはあきらめていました。だからこのプロジェクトが始まると聞いたとき、『エディナの将来を変えるチャンスだ』と確信しました。親の欲目でなく、数字が苦手だったエディナが問題を解いて他の子に助け舟を出すまでに成長したと思っています。このプロジェクトは勉学だけではなく、子どもたちに規律とチームワークを養い、自信を育むことに重点を置いていると思いますし、わたしも娘のそばに立って励まし続けようと思います。」(父親のエマニュエルさん)

「放課後クラスでは、毎日新しいことが学べるので、とても楽しいです。はじめはとても緊張しましたが、時間がたつにつれて自信がつき、今では人前で音読することも、質問に答えることもできます。わたしが学んでいることは、自分の学びのためだけでなく、家族を支え、村にとっても役立つと信じています。」(娘のエディナさん)

 


サミュエルさん
男の子は牛の世話をする、という文化の中で育ちましたし、息子のダウディにも「この牛たちがお前の教室だよ」と教えていました。でも、心の奥底では彼がなにかを失っていると感じていました。だから、プロジェクトスタッフが我が家を訪問して、「男の子は牛の面倒を見ながら勉強することができる。」と言ってくれて本当にうれしかった。ダウディは早朝の牛追いの後で放課後クラスに参加し、今では小学校にも通って獣医になる夢を持っています。そんな彼を誇りに思います。

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この放課後クラスでは地域の高校を卒業した若者が子どもたちに教えています。こうした若者や現役教師への教授法の研修、子どもたちの親を対象にした、教育の重要性に理解を深めて実践につなげるワークショップを開催して地域全体を巻き込み、さらに地域が中心となって教育の質向上、社会全体の活性化につなげていくことができるよう支援が行われています。


読み書きを習う様子©カリタスジャパン