We are Caritas No.24

We are Caritas No.24(2022年春号)ができました。
ご希望のかた(無料)は、事務局までお知らせ下さい。

巻頭言

いつまでも一緒に道を歩みたい

ナイロビでチャーター機に乗り継いで当時のザイール東部、ルワンダとの国境地帯にあった難民キャンプへ出かけたのが27年前、1995年3月末のことでした。その一年前、歴史に残る虐殺事件が起こり、それに続く政権崩壊と難民の近隣国への大流出。ルワンダ難民キャンプで過ごしたこの三ヶ月ほどが、カリタスジャパンと私の関わりの始まりです。

それから27年間、援助部会委員や委員会の秘書、2004年に司教になってからは、責任者も務めさせていただきました。その間、カリタスアジア総裁にも選出され、8年間務めました。このたび司教の担当改選で、責任者を新潟教区の成井司教様に交代していただくことになりました。

この27年間で、忘れることができない言葉があります。幾たびも、しかも全く異なる人たちの口から聞かされた「わたしたちは、世界から忘れ去られてしまった」という言葉です。

最初にこの言葉を耳にしたのは、95年に二度目となる視察訪問をしたルワンダ難民キャンプでした。あるキャンプで、生活の状況や必要を聞かせてくれていた難民のリーダーが、突然「わたしたちは、世界から忘れ去られてしまった」と言うのです。災害や紛争が起こると、当初は世界中からありとあらゆる人が救援に押し寄せるが、しばらくすると波が引くようにいなくなってしまう。そんなときに口をついて出る、心の叫びです。

それ以降、訪問する多くの現場で、同じ言葉を耳にしてきました。アフリカやアジアの災害や紛争の現場で、そして東北の被災地でもそうでした。

教皇様が東京で、東北の被災地の方々と出会ったときの、復興には「展望と希望を回復させてくれる友人や兄弟姉妹との出会いが不可欠」だと言う言葉が心に響きます。この27年間、いつも心に留めていたのは「わたしたちは、世界から忘れ去られてしまった」というあの言葉であり、その思いを生み出さないような関わりをすることでした。

カリタスジャパンは、他の国のカリタス組織と比較すれば、小さな組織です。そもそも教会自体が、日本では小さな存在です。しかしカリタスジャパンの背後には世界中のカリタスのネットワークがあります。小さいけれど、大きく貢献する可能性を持っています。これからもカリタスジャパンには、いつまでも一緒に道を歩み続ける姿を具体的に示して「忘れられてしまった」と感じる人のいない世界の実現を追い求めていただきたいと願っています。

カリタスジャパン 前責任司教 菊地 功

 

四旬節小冊子 2022

四旬節小冊子2022では、年間を通してカリタスの支援活動に触れていただけるように、各地における支援活動の写真を配したカレンダーを掲載しています。今号にて、掲載した写真、活動の内容等をご紹介いたします。
*四旬節小冊子2022は年間を通してご活用いただけます。ご入用の方は事務局(03-5632-4439)までご連絡下さい。

 

4・5月 モンゴル
モンゴルは人口が極端に少なく、国内市場が小さいため経済が安定しません。首都ウランバートルには、田舎からの出稼ぎ労働者が数多く移り住んでいますが、厳しい冬の間、人々は家にこもりがちとなり、アルコールの過剰摂取や家庭内暴力によ る問題も後を絶ちません。そして子どもがいるために働きに出られない両親も多くいます。カリタスモンゴルでは2005年頃からこうした出稼ぎ家庭の子どものためにデイケアセンターを設立し、カリタスジャパンと協働で運営しています。デイケアセンターでは子どもや家庭にとってより良い環境を確保するため、子どもに教育や食事の機会を提供するだけでなく、両親と丁寧に話しあう時間も大切にしています。

 

6・7月 アマゾン
アマゾンの熱帯雨林は、地球上の全降雨量の三分の一と五分の一の酸素を供給するとともに、300万人の先住民とその他の住人3100万人の暮らしを守っています。しかし過去50年間でその20%が伐採され、命と暮らしが脅かされてきました。国際カリタスはアマゾン地域の9つの国※の教会とともにREPAM(アマゾン教会ネットワーク)を設立し、アマゾンに住む人びとの尊厳と権利を促進する活動を推進しています。「アマゾン人権学校」はその一つで、アマゾン地域のリーダーが地域の主体性、集団的権利、国際的な人権保護制度、アドボカシーなどを学びながら、自らの力でコミュニティの将来をつくっていくプロセスの回復を支援しています。

 

8・9月 南スーダン

長い紛争を経て2011年に独立した南スーダンは、世界で最も新しい国の一つです。しかし、荒廃した社会システムと厳しい自然環境、長引く政治不安の中で、独立から10年を経ても人々の生活は厳しいままです。カリタスジャパンはカリタス南スーダンを通じて、ジュバをはじめとした7つの都市の人々に、食料やシェルターの提供など緊急支援を行っています。また、人々の相互理解を通じた平和構築のため、部族間の交流の促進や農業技術の研修、農機具の提供などを行い、持続的に安定した社会づくりを目指しています。こうした活動を通じて、多くのボランティアが育成されていますが、南スーダンの人々が、自らの力で立ち上がるための支援をこれからも継続していきます。

 

10・11月 エチオピア
多くの国と同様、エチオピアの特に地方で水くみは、女性と子どもの役割とされ、往復数時間かけて出かけることが日課となっています。そのため、子どもたちが学校にいけなかったり、女性たちが病気になったりしていました。そこでカリタスエチオピアは水資源プロジェクトを実施し、コミュニティから近い場所に水源を提供するとともにロバを配給し、女性と子どもが背負っている重労働を軽減しました。さらに、女性たちが豊富な水と時間を有効活用して家庭菜園を改善し、作物の種類や量が増えたことで「食糧の安全保障(Food Security)」にも役立っています。

 

12・1月 トルコ
世界で最も難民を受け入れている国トルコには、シリア難民を含めた400万人近い難民が暮らしています。その受け入れ数はドイツの3倍(※UNHCR2021)にもおよび、ヨーロッパに向かう中東からの難民の大きな受け皿となっています。過去20年、世界の難民数は増え続け、また問題は長期化してきました。カリタストルコでは、イタリアやスペイン、ドイツをはじめとしたヨーロッパ各国のカリタスと協働し、難民を「哀れみの対象」としてではなく、「自らの(社会的)発展の主体である」と位置づけ、食料や医療サービスなどの提供にとどまらない、社会における人々の再統合を目指した活動を続けています。

 

「Together We(トゥギャザー ウィー)」キャンペーン

2021年12月13日より「Together We(トゥギャザー ウィー)」キャンペーンが始まりました!
7人の手は、国際カリタスの7つの地域が手を結んで取組むことを意味しています。
世界中で、このキャンペーンをつないでいきましょう。

 

TOGETHER WE ACT TODAY FOR A BETTER TOMMORROW
ともに私たちはより良い明日のために 今日行動しよう

このキャンペーンのタイトルは『ラウダート・シ』と『兄弟の皆さん』という教皇フランシスコによる二つの回勅を、1つのカリタス家族として実践していこうという私たちの強い決意を反映しています。
このキャンペーンは、特に草の根レベルで、貧困と闘い、排除された人々の尊厳を取り戻し、自然を保護する行動を、総合的エコロジーの精神に基づいて実践する新しい種類の連帯を作り出そう、という教皇フランシスコの呼びかけに応える私たちの取組みです。

TOGETHER WE というテーマ
私たちの実践はさまざまな形をとることができるため、あえてタイトルを「Together We」に留め、それぞれが重点をおきたい活動に応じて、さまざまな実践のための動詞を組み合わせることができる形となっています。
例えば「Together We Care(気遣う)」「Together We Pray(祈る)」など、「ともに私たちはする」とつなげていきましょう。

“Together We”キャンペーンの祈り
わたしたちの父である神よ、あなたは豊かな恵みによって、天と地、すべてのものを良いものとして造られました。創造の業をともに大切にするため、あなたの似姿として造られたわたしたちに呼びかけてくださいました。

主よ、あわれんでください。わたしたちはみこころに従わず罪を犯しました。ともに住む家である地球を傷つけてしまったわたしたちに、見守るための心をお与えてください。ケアの文化を育むものとなるために、わたしたちの行いを導いてください。

御子イエスが貧しくなられたのは、その貧しさによってわたしたちが豊かになるためです。

御子のように、自らを明け渡すことができるようわたしたちを助けてください。神よ、あなたが喜んでお与えになったすべての創造の賜物を分かち合うことができますように。

深く愛することができるようわたしたちを強めてください。心の中にある隔たりを乗り越え、人類が一つの家族になることができますように。

聖霊を遣わしてください。わたしたちの周りで起こっていることに無関心になりませんように。わたしたちのかわいた心を潤し、愛の火を燃えたたせてください。

愛なる神よ、連帯の道を進むためにわたしたちの手を取ってください。最も苦しんでいる人々のための正義の行いによって世界に連帯の火が灯され、様々な新しい連帯によってわたしたちの心が豊かになりますように。

貧しい人々の叫びと地球の叫びを聞くために、あなたの愛の火をわたしたちのうちに再び燃えあがらせてください。その修復と保護、そして新たにされることを心から望んでいます。

すべてのものの造り主である天の父よ、あなたはわたしたちのためにすべてを良いものとしてお造りになりました。新しい生き方が可能であると信じるすべての国と男女とともにわたしたちが、持続可能な生活を送ることができるように、自由で責任ある指導者たちを導いてください。

神よ、聖なるいのちにわたしたちの心を広く開いてください。わたしたちと未来の世代のために、抑圧から平和への道を見分ける助けとなりますように。

神よ、あなたの愛と優しさの道を歩むわたしたちが、より良い明日のために、ともに住む家である地球と貧しい人々を、今日こそ大切にすることができるよう導いてください。アーメン