We Are Caritas No.18(2020年2月号)ができました。
We are Caritas をご希望のかたは事務局までお知らせください。(無料)
【訂正】
「援助実績一覧(2019年9月~12月)」仙台教区への暖房器具緊急支援(援助団体:カリタス南相馬)は、熊本地震ではなく、台風19号災害の誤りでした。訂正してお詫びいたします。
巻頭言
世界の四旬節
四旬節は、皆が一つの家族として世界の人々の十字架を背負い、今の世界の受難を身に受けキリストとともにまことのいのちと希望に満ちた復活に向けて歩むときです。それぞれの国で四旬節を有意義にすごすためにどのような活動や工夫をしているかをみてみましょう。
台湾
日本と同様、教皇の四旬節メッセージをもとに、カリタス台湾がキャンペーンを展開しています。台湾7教区に向けて、バナー、教育用ブックレット、ステッカー、封筒などを提供しています。アジアの兄弟姉妹とともに四旬節を過ごすことを心強く思います。
メキシコ
世界中、遠い国々でも同じ心で主イエス・キリストの後に従う兄弟姉妹がいます。「大きな連帯と愛徳(カリタス)の輪であるカトリック教会の四旬節」をともに生きることは、国籍、文化、習慣を超えて、神のみこころにかなう世界の実現に向けて歩むことなのだなと感じます。
カナダ
カリタスカナダでは、テーマに合わせて四旬節を主体的に過ごせるような様々な素材を提供しています。連帯カレンダーもその一つです。今年のテーマは地球環境保護のため、川下りをしながら、アマゾンと地球の人々との連帯を共有できるよう学び、祈り、行動するためのカレンダーとなっています。
ドイツ
ドイツ司教協議会の開発援助機関であるミゼリオールがキャンペーンを展開しています。2020年のテーマは「平和を与えるつながりを作ろう」です。ネットワークギャラリーでは、具体的なアクションを起こした人たちの写真を集め、つないでいきます。
ケニア
ケニア司教協議会の2020年のテーマは「変貌した国への責任...私がすべきこと」です。キャンペーン資料は英語からスワヒリ語にも翻訳され、小教区、共同体、学校、さらに官庁などにも配布されます。直面する問題をすべての人々が共有して行動できるよう物語や絵も交え、様々な立場の人々によって作成されています。
ニュージーランド
カリタスニュージーランドによって集められた四旬節献金は、世界中の最も貧しく脆弱な人々のための活動に使われます。四旬節キャンペーンの資料は、英語とマオリ語で作成されています。
2020年四旬節「愛の献金」趣意書
このたび来日されたローマ教皇フランシスコは、2013年に就任されて以来、「誰ひとりとして排除されない世界」を実現することを最も大切な課題として掲げておられます。
東京ドームでの5万人を前にしたミサで教皇は「わたしたちは、すべてのいのちを守り、あかしするよう招かれています」と述べて、わたしたちにとって最も大切な根本的価値観を示されました。その上で、それを生きるために必要なことは、「知恵と勇気をもって、無償性と思いやり、寛大さとすなおに耳を傾ける姿勢、それらに特徴づけられるあかしです。それは、実際に目前にあるいのちを、抱擁し、受け入れる態度です」と指摘されました。
また東北の被災者の方々との出会いの場では「食料、衣服、安全な場所といった必需品がなければ、尊厳ある生活を送ることはできません」と述べられた後で、しかしそれだけでは人は復興はできないと指摘し、次のように述べられました。「一人で「復興」できる人はどこにもいません。誰も一人では再出発できません。町の復興を助ける人だけでなく、展望と希望を回復させてくれる友人や兄弟姉妹との出会いが不可欠です」と述べて、互いに支え合う人間関係が、生きる希望を生み出すのだと指摘されました。
教会は、神のいつくしみが具体的に生きられる場であると、教皇フランシスコは主張されてきました。教会には、神のいつくしみを告げ知らせる使命があります。神のいつくしみはもちろん、虐げられている人、困難に直面する人、悲しみにある人に向けられているのですが、同時に、神の価値観とは対極にある、異なる価値観に生きる人たちにも同じように向けられています。なぜならば、わたしたちの神は排除する神ではなく、いつくしみによってすべての人を包み込むあわれみ深い神だからです。教会は常に、神のいつくしみを体現するものとして、排除するのではなく、優しさの内にすべてを包み込む存在でありたいと思います。また、互いに支え合い、生きる希望を生み出す教会でありたいと思います。
四旬節は、まさしく御父のいつくしみを多くの人に具体的に示す時です。互いに支え合っている姿を具体的に生きる時です。いのちを生きる希望を具体的に生み出す時です。教会の伝統は、四旬節において「祈りと節制と愛の業」という三点をもって、信仰を見つめ直すようにわたしたちに呼びかけています。四旬節の献金は、犠牲としてささげる心をもって行う愛の業に他なりません。この四十日の間、犠牲の心をもって献金にご協力くださり、教会の愛の業にともに参加してくださいますようにお願いいたします。
緊急災害援助にとどまらず、国内外において「いのち」の危機に直面している人々のため、また途上国での少数民族の子どもたちの教育支援や女性の自立支援など、長い時間をかけて実施されるプログラムを支援するためにも、四旬節に寄せられる献金は不可欠です。カリタスジャパンが行う支援は、もちろん皆様の募金に支えられていますが、毎年の支援の三分の一は、この四旬節献金によって支えられております。
今年の四旬節も、神のいつくしみを具体的に生きる時として、御父の愛に包まれ、豊かな心で過ごすことのできるように、互いに支え合う中で生きる希望を生み出すために、四旬節献金にご協力下さい。
菊地 功(カリタスジャパン 責任司教)
四旬節「愛の献金」による支援活動
四旬節献金では、世界で貧困や人権侵害などに苦しむ人々の生活の質を向上させ、自立を促す支援を行っています。
キルギス Kyrgyzstan
キルギスは、1991年のソ連解体で独立した中央アジアの内陸国です。ソ連時代の独裁的な支配構造が今も残る中央アジア諸国の中では、最も民主的な国と言われています。
キルギスのカトリック教会はとても小さく、信徒数は国全体で約500人です(キルギスの人口は620万人)。最多は南部に多いイスラム教徒で人口の75%、次にロシア正教徒が20%を占めます。
カリタスキルギスは、2019年に国際カリタスの正式メンバーとなったばかりの新しいカリタスです。前身は、2011年に創設されたNGO「愛の光」で、主に教育活動を行ってきました。具体的な事業の一つは、東部イシク・クル湖畔に設立した教育センターでのサマーキャンプです。障害児や天文学クラブに所属する生徒などを対象に毎年行っています。
もう一つは、小教区での補習授業です。キルギスは、処遇の悪さなどから人材が国外に流出する傾向にあり、教師も圧倒的に不足しています。そのため教育の質が悪く、大学進学を目指しても、裕福な家庭の子どもたちは私塾に通えますが、一般的な家庭ではその余裕がありません。この補習クラスでは、定員を20人とし、希望する生徒は誰でも無償で受け入れています。集まった生徒は皆とても意欲的で、持参した課題にそれぞれ真剣に取り組み、その中を経験ある教師が一人ひとりに丁寧に対応しています。
このような教育支援を通してカリタスキルギスが目指すのは、子どもたちに「教育の価値」を伝えること。キルギスでは、大学を卒業して就職するよりも、ロシアに出稼ぎにいって肉体労働をした方が3倍の収入になります。このような現実の中、学ぶことの意味を見失う若者も少なくありません。カリタスとしての経験は浅いカリタスキルギスですが、カトリックの教えにしっかり基づいた青少年育成活動を通して「人間にとって本当に大切なものは何か」を教えています。
ミャンマー Myanmar
ミャンマー東部に位置し、中国、ラオス、タイと国境を接するシャン州。その南部にあるペコン教区は、様々な政治的要因で極度の貧困に陥っている地域です。移住労働者、その予定者、帰還者も多くいます。
この地に住む人々は貧しい小規模農家で、従来の農法で自家消費用の米や、現金収入用の穀類、豆などを作っていますが、近代的農法や販売方法についての知識欠如、土壌劣化や天候の影響などにより、生産性の低さが大きな問題となっています。その他の生計手段や雇用の機会もほとんどなく、特に若者は地元で生きていくのが非常に困難です。
その結果、多くの人々は、高利で借金をしたり、土地を売ったりしたお金で、職と収入を求めて海外へ違法に出かけていきます。しかしながら、特に女性は移住先で、搾取、人身売買、権利侵害、性暴力などの被害に遭うことも少なくありません。カリタスは、コミュニティでの反人身取引啓発活動に力を入れていますが、それでも移住労働を希望する若者は後を絶ちません。そこで、ペコン教区カリタスが行っているのは、地元での雇用促進を支援するプログラムです。無職の若者に、職業訓練を行って就職の機会を増やしたり、小規模起業についてのトレーニングと資本金を支援したり、生産性の高い農業についてのトレーニングと必要な道具を支援したりしています。その結果、多くの若者が地元で働いて生活できるようになり、危険な移住労働に出かけなくてもすむようになっています。
四旬節 「愛の献金」キャンペーン
2月26日の灰の水曜日から四旬節が始まります。今年も「愛の献金」にご協力よろしくお願いします。資料は灰の水曜日までに各小教区などにお送りしています。追加など必要な場合はお問合せください。
あなたの町の「カリタスさん」
カトリック青年連絡協議会 からし種プロジェクト
今回は、カトリック青年連絡協議会のからし種プロジェクトについて紹介いただきます。
からし種プロジェクトはカトリック青年連絡協議会のプロジェクトとして、2017年秋に立ち上がりました。協議会という全国の青年のネットワークを活用して、全国の青年が交流することに加えて、新たな取組みを考えてみようというものです。
地方では青年活動が難しいという課題も踏まえ、社会や教会の問題に目を向けたり、自分の信仰を見つめたりする機会をつくることができないかと考え、釜ヶ崎の夜回り企画、エキュメニカル活動への参加、青年のための巡礼企画、全国各地で同じ企画を同時に行うあっちこっち企画などを行ってきました。また、「排除ZEROキャンペーン」といった全世界的な取組みに青年も目を向け、関わるきっかけを作っていきたいという思いから、青年が集まる場での紹介などを行いました。釜ヶ崎の夜回りは年に1回、たった10人ほどの人数ですが、参加した人の社会を見る目は変わり、日々の生活へも僅かかもしれませんが変化があったはずです。私たちの活動はまだ試行段階ですが、少しずつ成果が出始めています。外国籍の青年との交流といった最近の課題もふまえながら、小さな種から大きな実りが生まれることを信じて、活動を続けていきたいと思います。