報告会プログラム
5月15日(土)、第4回目となる支援報告会を「コロナ禍と子ども」をテーマに行いました。参加者は40名でした。「アフターケア相談所ゆずりは」の高橋亜美さん、「慈生会ナザレットの家」の大橋康雄さんから活動のご報告とともに、その中で見えてくる子どもたちの「いま」の課題を提示していただきました。また、カリタスジャパンの啓発部会委員で「こどもの里」の荘保共子さんからも、子どもたちを取り巻く現状についてご説明いただきました。
【開催日時】2021年5月15日(土)1400-1600 オンライン開催
【 テ ー マ 】コロナ禍と子ども
【報告団体】 社会福祉法人子供の家 アフターケア相談所「ゆずりは」 高橋 亜美さん
社会福祉法人慈生会 ナザレットの家 大橋 康雄さん
【現状報告】NPO法人 こどもの里 荘保共子さん(カリタスジャパン啓発部会委員)
コロナ禍の子どもたち
新型コロナの感染が世界的に拡がってから1年以上が経ちました。これまでの報告会でも、コロナ禍では社会的に弱い立場におかれている人ほど負の影響をうけやすいことが明らかにされてきました。子どもたちの現状に目を向けると、今、日本では約4万5千人の子どもたちが虐待や経済的理由などで自分の親と離れて暮らしています。今回お話を伺った「ナザレットの家」では、親と一緒に暮らせない0歳から3歳までの子どもたちに生活の場を提供し、「ゆずりは」では児童養護施設などで育った子どもたちが「自立」する時期に直面する課題に、精神的・物理的なケアを提供しています。また、「子どもの里」は学童期の子どもたちの里親として、また学童保育所として子どもたちの居場所を提供しています。
今回のお話で明らかになったことは、「コロナ禍は大人たちのみならず子どもたちにも大きなストレスを与えている」ということでした。全国の子どもを対象とした調査結果*1でも、精神的不安、うつ状態の子どもが増えていることが明らかになっているとのことですが、「ゆずりは」には、孤独感・孤立感を深めた若者たちから「死にたい」という相談や自殺未遂ケースの相談・報告が増え、「ナザレットの家」の赤ちゃんたちでさえも、感染防止策として実親や里親さんとの交流機会が減った結果、「おもちゃの取り合い」や「噛みつき」などの問題行動が増えているそうです。ここでも、平時から多くの課題を抱えた子どもたちにより大きなストレスがかかっている、事実が見えてきます。
*1国立研究開発法人国立成育医療研究センター「コロナ×こどもアンケート」第4回調査報告
必要なのは、つながりと居場所
「ステイホーム」が推奨され、誰とも会わない日々が続く今だからこそ、子どもたちの成長といのちを守るために「つながり」と「居場所」の提供が必要なのだと高橋さん、大橋さん、荘保さんは強調されます。「生まれてきてくれてありがとう」「生きていてくれてありがとう」というメッセージを、揺るがず発信することと、問題に直面している子どもたちと直接つながること、信頼し安心して笑っていられる「場所」を提供することの必要性を示してくださいました。社会全体で守り育てるべき存在の子どもたちへの、私たちひとりひとりの意識や接し方が問われているのではないでしょうか。
カリタスジャパンは「すべてのいのちを守るため」に、より弱い立場に置かれた方々への支援を積極的に続けていくとともに、現実社会の課題に一人ひとりが向き合うことを促進していきます。引き続きのご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
カリタスジャパンでは、「We are Caritas」をテーマに、新型コロナウイルスの影響で、生活に困窮している方々のために、複数の団体を通じて支援を行い、支援団体による報告会を実施し、このコロナ禍の状況を知り、ともに考えていく機会としています。(新型コロナウイルス支援関連の詳細はこちらのページから)