We Are Caritas No.16(2019年7月号)ができました。
We are Caritas は年3回(2月、6月、12月)発行しています。
ご希望のかたは事務局までお知らせください。(無料)
巻頭言
国際カリタスの総会に出席させていただいた。
総会後半、今後4年間の方向性についてのグループ討議の直後、「何か得たものがありますか?」と質問され、「今ならもっと“いい”援助ができたのに・・・」という、後悔と希望の混じったような気持ちをシェアしました。というのは、西アフリカに派遣されていた頃、私目線、私の価値観、私のヴィジョンでことを進めていたと気づき、関わった人々の顔が思い浮かび、お詫びしたいような気持ちになってしまったからです。グループは、アフリカの司教4名と司祭1名、難民と関わっているベルギーのカリタスの職員と私でした。四つの地域と立場の違う参加者で構成されて鳥瞰図のような視点で世界を眺めている気がしていました。討議では、よく具体的なプロジェクトの事例をあげていました。中には、過去に私自身が取り組んでいた女性の生活向上やHIV/エイズの予防やケアのプロジェクトの事例もあり、私はすっかり“はまって”しまっていました。
「あの時、このような対話とインテグラルなとらえ方ができていたなら」とやり直したい気持ちになったわけです。そして総会のグループ討議の対話は今も私の中で続いています。
ところで“いい”援助とはどういう援助でしょうか?
「プログラムより、その先にいる人が大切にされている」、そして、その人を、「兄弟姉妹として支えあう援助」ではないかと私は思います。(シスター勝 一美 援助部会秘書)
第21回国際カリタス総会
one human family, one common home(私たちは一つの家族 地球はみんなのいえ)
4年に一度の国際カリタス総会が、5月24日~28日ローマ市内の会議場で開催され、世界152カ国から423人が参加しました。日本からは、菊地功大司教をはじめ、カリタスジャパンの秘書2名、事務局長が参加しました。総会のテーマは「私たちは一つの家族地球はみんなのいえ」とされ、前回の総会後に出された教皇フランシスコの回勅『ラウダート・シ』を踏まえ、「総合的人間開発」や「被造物保護」への取り組みの必要性が前面に出た内容でした。
総会に先立って23日には、聖ペトロ大聖堂で教皇フランシスコ司式の開会ミサが行われました。ミサの説教で、教皇はカリタスの活動に触れ「効率ばかり追い求めてはいけません」、「援助プログラムより人が大切です。プログラムの先に人がいることを忘れないようにしてください」と強調されていました。
国際カリタス新メンバーの承認
今回の総会で、中央アジアのキルギスのカリタス、シンガポールの二つ目のカリタスであるCharis、オセアニア地域のフィジーのカリタスの三つがメンバーとして認められました。シンガポールは、国内の事情で、国内の活動に取り組むカリタスシンガポールと、海外の活動に取り組むCharisの二つがあり、これまではカリタスシンガポールだけが国際カリタスのメンバーでした。この結果、国際カリタス加盟団体は164カ国168団体となりました。
国際カリタス総裁選挙・事務局長選挙
国際カリタス総裁には、フィリピンのルイス・アントニオ・タグレ枢機卿(Cardinal Luis Antonio Tagle)が再選されました。また、8年の任期を終えたミシェル・ロワ(MichelRoy)国際カリタス事務局長の後任には、インド出身でカリタスフランスでの経験があり、これまで国際カリタス事務局で働いていたアロイシウス・ジョン(Aloysius John)氏が選出されました。
すべての人を一つにしてください(ヨハネ17・21)
世界中のカリタスの仲間がローマに集まり、「人間家族であるわたしたちがひとつになり、皆の家である地球がひとつであること」をテーマにして、新しい「四年期」のためにともに祈り、分かち合い、ともに行動し、新しい統治のために話し合いました。国際カリタスの難民・移住者のための「いのちの旅を分かち合う」国際キャンペーン(日本ではカリタスジャパンと難民移住移動者委員会合同の「排除ZEROキャンペーン」)のアピールをともに行い、教皇フランシスコとともに祈り、カトリック教会の内外からのメッセージを受け取り、励まされながら、新しい出発をしました。それは、わたしたちの天の父である神のいつくしみと愛から始まり、主イエス・キリストによって示された救いのわざとして、信じる兄弟姉妹をとおして、今も続いている教会の愛の奉仕です。現在、わたしたちの住まう地球が抱えている課題によりよく応えるためのものでもあります。
それぞれの国や地域でなされているカリタスの活動は、同じ思い、同じこころで実践されていることを思い起こす機会となりました。中でも困難の中にある人々にカリタスは寄り添っています。本年復活祭にスリランカで起こった悲惨な出来事に、カリタスは緊急に対応しながらイエス・キリストの愛を示しています。
イエスはご自分をお遣わしになった天の父に向かって祈られました。「わたしが彼らの内におり、あなたがわたしの内におられるのは、彼らが完全に一つになるためです。こうして、あなたがわたしをお遣わしになったこと、また、わたしを愛しておられたように、彼らをも愛しておられたことを、世が知るようになります。 」(ヨハネ17・23)
カリタスの組織が、互いに支え合い愛し合う教会の使命を生きるために、若者や女性がカリタスの統治に積極的に参加することが承認されました。日々、刷新されるためにともに聞くことから始めたいと思います。(瀬戸高志神父 啓発部会秘書)
国際カリタス 今後4年間(2019‐2023)の方向性
①教会の心であるカリタス ②生命を救い、共同体を再生する ③持続可能な「総合的人間開発」と被造物保護の促進 ④世界的な連帯の構築 ⑤カリタス連盟の効率化
カリタスジャパン 戦略計画(2019-2023)
2019年6月19日(水)から21日(金)、イギリスよりコンサルタント・ファシリテーターのフランク・デ・カイレス(Frank de Caires)氏をお招きし、戦略計画立案のためのワークショップを開催しました。ワークショップで話し合われ、設定した目標は以下のとおりです。
プログラム
援助活動の促進
災害に備えた体制の充実
J-CaRM(難民移住移動者委員会)との協働
ジェンダーを中心とした様々な活動の推進
若者の参画と連携
組織
教会内での相互連携の強化
効果的な財務・資金調達システムの確立
効果的な組織体制作り
あなたの町の「カリタスさん」(キャンペーン編)
今回は、高松教区難民移住移動者委員会の成り立ちと活動についてご紹介いただきます。
第一回「人権を考える委員会」が溝部司教の下、シスターギリスを最初の委員長として2007年1月19日メンバー7名で発足。司教協議会の中での四つの委員会(難民移住移動者委員会、カリタスジャパン、正義と平和協議会、部落差別人権委員会〈現〉)を含み、これらの内容を主に扱う委員会となる。先ずは、全国担当・代表者会議に委員が出席するようになった。その後、メンバーも10名程に増え、各委員会の担当者を決めたが、これは委員が少ないため全員が高松教区担当者として取り組んできた。
当初から優先してきたのは、年々信者数が増える在日外国人に寄り添い、教会内での一致を図る取り組みであった。四つの委員会の活動は、例会(2カ月に1回程度)の折、担当者から報告があり、その都度共有している。発足から12年、現在も活発に続いているのは、香川・桜町教会での日本語クラスである。時代の流れの中、現在では技能実習生として来日しているベトナム人の信者・未信者が80%を占め、この3年間ではメディアに取り上げられたこともあり、200名を超える老若男女が登録され、10名弱の教師(信者)が熱心に、日曜日のミサ後奉仕している。教会側から場所の提供、ここ5年前からは信徒会からの予算の援助等応援してもらっている。期待に応えて、教師たちも遠くからきて頑張っている彼らに、一つでも日本での楽しい思い出、憩いの場となるように頑張っている。
また、こうした状況の中で外国人に関わる様々な問題が見えてきて、難民移住移動者委員会としても、これらを吸い上げて、より良き解決に向けた取り組みに繋ぐ活動になっている。
そして、全国大会出席で得た情報等から、全国各地で同じような問題があるのを知り、その現状を共有し、解決に向け、成果を上げてきていると実感している。