ウクライナ危機人道支援活動(周辺国)

2022年2月24日のロシアによるウクライナへの軍事進攻開始以降、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニア、モルドバなど近隣諸国のカリタス組織はすべて、ウクライナから逃れてきた何百万もの避難民たちを最前線で支援し続けています。以下、各国カリタスの支援活動を紹介します(2022年12月現在)。ウクライナ国内の支援活動についてはこちらからご覧ください。

 

 

 

 

 

写真 国際カリタスによる避難民の受け入れ状況(出典:国際カリタスウェブサイト)

 

ポーランド (カリタス ポーランド)

ポーランドでは、教区による難民センターが32か所開設されています。いずれも、カリタスポーランドの運営をモデルにしており、心理支援、ポーランド語コース、職業紹介所、子ども向けの遊び場を提供しています。また、カリタススペスと協力して、ウクライナ国内で「ファミリー プログラム」を開始しました。このプログラムでは、非常に困難な状況にあるキーウ・ジトーミル教区の500 を超える家族に 1 年間の経済的支援を提供するものです。

また主なウクライナからの避難民を中心とした人道支援は次のとおりです:

  • 国境近くの難民も含め、全体で 200 万食以上の食事を提供
  • 約 5,000 人をカリタスの施設やセンターに受入、32,000人の避難民へ食糧支援を実施
  • 8,000 人のウクライナの子どもたちに休暇旅行を実施し、学校のスターターキットを配布
  • 200 人のウクライナのフォスターケアの子どもたちとその保護者に包括的なサポートを実施。教区では、1,600 人以上の子ども達にケアと教育のサポートを実施
  • 約41万人にさまざまな形態の社会的支援を実施
  • 約2万人のボランティアが、国境での1,300 人を含め、ポーランド全土でウクライナからの難民を支援

写真:©Caritas Polska (2022年12月更新)

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カリタス ポーランドは、ウクライナでの後方支援活動(家を離れて避難所で生活している人たちへの食料、水、衛生用品、衣類、毛布、枕、リネンなどの提供)に加えて、国境付近での支援を継続しています。

ウクライナとポーランドの国境に設置された26のヘルプポイントと呼ばれるベースでは、1,200人のカリタスボランティアが国境を越える何十万もの人々に対し、温かい食事や水、携行できる食料品や、魔法瓶、寝袋などの必需品を提供しています。©Caritas Internationalis

 

 

 

 

 

また、国境に面するプシェミシル市にある小学校や駅のスペースを開放し、困難な道のりを経てやってきた幼い子どもや女性たちのための休息スペースを設けています。

 

 

 

 

 

写真左:国境近くに作られた「希望のテント」では、主に子どもの支援を行っています。©Caritas Poland
写真右:国境に面するプシェミシル市の公立小学校の様子。取るものもとりあえず避難してきた人たちは、ここで携帯電話等の充電を行い、ボランティアの人たちにウクライナの様子や残してきた家族の様子を写した画面を見せ、涙ながらに分かち合います。©Philipp Spalek/Caritas internationalis (2022年4月)

 

ハンガリー(カリタス ハンガリー)

国境近くのバラバ難民センターやブダペストのホールなどでは、難民保護施設、病院、孤児院、幼い子どものいる家庭、自宅に一人で残された高齢者、逃れてきた人たちのために炊き出しを行いました。6月中旬から、ブダペストの統合センターでは、定住を希望する難民のための長期的な仕事を支援しています。

ウクライナ国内では、西部のカリタスヴィノフラージにて、東ウクライナの施設から移転してきた特別な擁護が必要な 子どもたちをケアするための特別なベッドや収納キャビネット50セットを支援しました。

写真:©Caritas Hungary (2022年12月更新)

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カリタス ハンガリーでは、複数ある国境検問所の近くにそれぞれベースを設け、避難民への支援活動を行っています。

東部バラバスのベースでは、避難民のための相談窓口を設け、食糧、衛生用品の配給だけではなく、一人ひとりに「彼らがどこに行きたいのか、助けを求められる人がいるのか、いるのであれば誰であり、これからどのように過ごしていきたか」ということを聞き取り、人々が安全に目的地までたどりつけるための情報を提供しています。また、政府と協働し、避難民受け入れのための法的手続きも同時に行っています。

カリタス ハンガリー責任司教アンタル・スパニー司教の言葉(抜粋)

「難民の数が増えるにつれて、より多くの社会的結束が必要になります。私たちは、安全でまともな生活を求めて他の国で生きる場所を探している人々のために協力しなければなりません。そして、ウクライナに残っている人々のためにも行動を起こし、彼らの状況から絶望を取り除き、彼らが再建するのを助ける必要があります。これらの活動の目的は、彼らが、生まれた土地、彼らのルーツが結び付けられている土地に(再び)住めるようにすることにあります。(その土地には)彼の家族、彼らの先祖も住んでいました。アースランナー(地球上を点々と移動する人)としての新しい人生を探さないですむように、カリタスはそのために尽くします」
写真:ベースを訪れた司教、奥の部屋では多くの避難民が待っている。©MagyarKurír/Székesfehérvár,KatalinBertánéPintér (2022年4月)

 

スロバキア(カリタス スロバキア)

カリタススロバキアは、2014年から、ウクライナ東部で続く紛争により、故郷を追われた国内避難民の支援に力を注いでおり、とくにウクライナ国内、ドニプロ地域の避難所で暮らす人々に、主に2つの方向性(医薬品、衛生用品、食料品などバウチャー配布/心理的支援)で人道的支援を行っています。これらのプロジェクトは、医薬品、衛生用品、食料などのバウチャーを配布して人道支援を行い、コミュニティーの理解、平和構築、紛争解決やストレスへのポジティブな対処法に焦点をあてた心理的サポートを提供するという形態です。

また、本年10月、カリタススロバキアとカリタスハンガリーで協議し、両国カリタスの困窮者支援の枠組みでより緊密な協力を確立し、可能な限り協働して支援することを決定しました。生鮮食料品や衛生用品など、650トン以上の支援物資を送り、11月に入り、2トン以上のストーブ、練炭、キャンドルを送付して支援しています。また、東部の大司教区、教区の慈善団体と協力し、国境近くには一時的に避難できるシェルターを準備し、仮住まいの手配も行っています。

写真:©Caritas Slovakia(2022年12月更新)

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カリタス スロバキアでは、ウクライナのパートナーであるカリタス ドネツクと協力し、ウクライナ国内で紛争に苦しむ人々への食糧、宿泊施設、基本的なニーズを満たすための物品提供などを中心とした人道支援を行っています。また、国境に近い地域から、重病の子どもを受け入れ、スロバキア国内での転院・治療先確保のための調整を行っています。
写真:温かい食事を振る舞う様子 ©Monika Molnarova, molnarova (2022年4月)

 

ルーマニア(カリタス ルーマニア)

12月:ウクライナにあるカリタスコロミアに発電機を提供。ルーマニアとの国境から約60kmに位置するコロミアは、戦争の直接的な影響は受けていませんが、地元住民やウクライナ東部・南部からの難民数千人が、頻繁な停電に悩まされています。この発電機は、3つの難民センターとコロミアのカリタスセンターに設置され、この困難な時期に支援を受けている数千人のための照明と暖房に利用されます。

6月:オラデアにある教区カリタスでは、ウクライナ戦争の影響でオラデアとその周辺に到着した難民が、ここで生活し、仕事を探し、子どもを教育プログラムに参加させることを希望する場合に、中長期的な支援を提供することを目的として、「難民のための情報・カウンセリングセンター(CICRO)」を開設しました。このセンターでは、ルーマニアの難民の状況に関する最新情報の入手、書類の入手に関するサポートやアドバイス、これらの状況を管理する責任を負う機関への同行を提供しています。また、週3~5日、昼間にカリタスサマースクール、午後にインフォーマルクラブを実施し、大人から子どもまで、様々な年齢の人たちにウクライナ語での教育・心理サービスを提供しています。

写真:©Confederatia Caritas Romania  (2022年12月更新)

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ルーマニアにおけるカリタスは、赤十字や、地方自治体、民間支援団体などと協働しながら、避難民の受け入れを行っています。ルーマニア・シレト市のカリタスでは、レセプションセンターを設け、避難してきた人々が、温かい食べ物を受け取り、シャワーなどを浴びられるように配慮しています。ルーマニアにはこうした宿泊施設は30か所ありますが、カリタスは専門的な介入が最も必要であると考え、翻訳、輸送、食事、清掃を提供するボランティアのほかに、ソーシャルワーカーや心理の専門家を配置しています。

こうした専門家を通じ、必要な人は誰でも、目的地(中国、インド、モロッコ、エジプト、イラク、フロリダ、ドイツ、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタン)に出国するのに必要な書類の準備なども行うことができます。ウクライナからの難民の受け入れに前向きな国々との連携は非常に重要です。また、同時に、避難民がこの宿泊施設を離れ、ブカレストや第三国である最終目的地に到着した時、すべてが順調であるかどうか、一緒に設定したスケジュールに従って進んだかどうかを本人たちと確認しています。
写真:宿泊施設の様子 ©Confederatia Caritas Romania    (2022年4月)

 

モルドバ(カリタス モルドバ、CRS)

46万人の難民がモルドバに流入し、9万人のウクライナ人がモルドバに残りました。カリタス・モルドバは、国境近くにある48の難民用テントに、電気と暖房のための物流と資材を提供しました。現在では、難民受け入れセンター(6か所)に56,496食以上の温かい食事を提供しています。カリタススロベニアとスロベニア外務省の支援により、800人に統合的なサービスを提供し、カリタスオーストリアの支援によって、ウンゲニに定員40人の2つ目の難民センターを開設することができました。毎日170人の難民に、宿泊施設、毎日3回の温かい食事、衛生用品、医療ケア、心理・感情面のサポート、社会的サポート、統合サービス、情報へのアクセス、教育サービス(ウクライナ人教師との連携)、法律相談、子どもコーナーでの教育サービス、子ども専用スペースなどの包括的なサービスを提供しています。

 

また、弱い立場の難民を扱うというプレッシャーに耐えられるスタッフを短期間で大量に確保することが大きな課題となっていました。特に特別なニーズを持つ子どもたちに対する心理社会的応急処置(PFA)のボランティアが訓練されていないことも課題でした。そこで、直ちにPFAに関するトレーニングを4回企画しました。

写真:© Caritas Moldova  (2022年12月更新)

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カリタス モルドバは、CRS(米国カリタス)、カリタス ドイツなど国内外のパートナーと協働してウクライナからの避難民への支援活動を継続しています。これまでにおよそ350,000人がモルドバを通過しましたが、その90%が女性と子どもです。避難民の半数以上が欧州への移住を希望していますが、モルドバにも10万人弱の人々が残っています。カリタス・モルドバは、モルドバならびにウクライナにおいて、安全な避難所、温かい食事、衛生用品、保温のための燃料、安全な場所への輸送、カウンセリングサポートなどを提供しています。
写真:国境の街パルナにて©Caroline Brennan, CRS (2022年4月)