We are Caritas No.30

We are Caritas No.30(2025年夏号)ができました
ご希望のかた(無料)は、事務局までお知らせ下さい。

 

巻頭言

新しさの風を受けて

命が芽吹き、世界がやわらかく動き出したこの春、
私たちは「主の復活」という出来事に、静かに心を寄せる時を過ごしました。
教皇フランシスコの訃報は、全世界を深い悲しみに包み、
私たちもまた、「羊飼いを失った群れ」のような戸惑いと寂しさを抱えることになりました。
その後、新教皇レオ14世が選出され、教会は再び顔を上げ、歩みを新たにしています。
世界中の教会が、同じ悲しみと希望を分かち合った――
その体験を通して、私たちはキリストに結ばれたひとつの体であることを実感したのです。
「ともに泣き、ともに喜ぶ」
この心の交わりは、カリタスの大切な原点であることでしょう。
カリタスジャパンもまた、この4月から新たな体制のもとで歩みを始めました。
しかし体制が変化しても、私たちの使命は変わりません。
「最も小さな人」に寄り添い、「ともに生きる」社会を目指して、
聴き合い、手を取り合い、支え合う――
その使命への応答を、今という時代のただ中で、あらためて生き直していくことが、私たちに託されています。
「新しさ」とは、単なる変化ではなく、謙虚さのうちに、希望に向かって
もう一歩踏み出すことなのかもしれません。
聖書はこう語ります。
「見よ、新しいことをわたしは行う。今、それが芽生えている。」(イザヤ書 43章19節)
この言葉は、今を生きる私たちに、神がともに歩まれる新しい道の始まりを告げているのではないでしょうか。
私たちのささやかな一歩が、希望につながることを信じて、ともに歩み続けてまいりましょう。

シスター 橋本晶子(カリタスジャパン秘書)

 

TOGETHER WE-これからもともにケアの文化を

2022年7月から2024年12月まで実施したTOGETHER WE(ともに)キャンペーンでは、「ケアの文化」の理解のため、現在の活動や自身の行動を振返り、目指す世界のために、どんな共同体をつくっていくかなどを分かち合いました。コロナ禍の影響が残る中で、小教区、グループや活動団体、共同体、学校、幼稚園、保育園など50か所以上においてキャンペーン写真展、さまざまな集い、分かち合いが開催されました。それらを通して寄せられたコメント(感想、お祈り)は200以上にもなりました。

参加者の声
コメントは、日本語のほか英語、韓国語、ベトナム語など外国語でも多く寄せられました。世界の平和と災害復興への祈り、「互いに助け合うこと」、「あきらめないこと」の大切さも記されていました。「小さく貧しくされている人々とともに生きる」という意思表明、地域での援助活動やボランティア活動への感謝、自分も行動するという決意、活動のアイディアなど、その内容は多岐にわたりました。

キャンペーンは終了しましたが、2025年に入っても、私たちのいえ(地球)では、残念ながら大規模自然災害の発生や戦争などにより、小さくされた人々の重荷はさらに大きくなってきています。ラウダート・シ10周年にあたる2025年を新たな始まりとして、これからも、ともに私たちのいえである地球や弱い立場に置かれた人々のさまざまな叫びに耳を傾けて、互いを大切にし合う「ケアの文化」を広めていければと思います。

 

国際カリタス 債務を希望に変えよう(TURN DEBT into HOPE)キャンペーン

教皇フランシスコは2025年の聖年にあたり、大勅書『希望は欺かない』、「世界平和の日」メッセージにおいて、富裕国の一部の政府や民間金融機関による「借金を返済することができない」国々の債務問題に取り組むよう求めました。
国際カリタスは、これに応え、2024年12月23日から2026年1月6日まで「債務を希望に変えよう」キャンペーンを行っています。

背景
債務危機に陥っている低所得および中所得国は現在54ヵ国にも上り、深刻な貧困に直面しています。しかしながら民間金融機関、政府への高利融資の返済を余儀なくされて、その成長は阻害され、国民に不可欠なサービスに適切な費用を充てることができないでいます。

アフリカの34カ国では、医師や教師の雇用、学校、病院、下水道の建設、洪水への備え、干ばつ対策などに充てられるべき資金が借金の返済に使われています。多くの場合、国は当初の債務の数倍の金額を返済しています。利子が増加し続けるために債務は決して完済されません。近年の援助削減と関税上昇は、既にこの持続不可能な債務を抱える国々において、貧困と不平等を深刻化させており、債務救済の必要性はかつてないほど高まっています。

キャンペーンについて
カトリックの歴史において、聖年は返済不能な負債に苦しむ人々を解放し、人間としての尊厳への新たな道と希望を与えるための霊的な機会です。
聖年を記念し、持続不可能な債務に苦しむ国や地域社会に新たな希望をもたらすために、カトリック教会の価値観に沿って、次の3つのことを求めています。

①不公正で継続不可能な債務を免除・是正する
②国際機関による不正義を伴わない資金繰りの仕組みづくり
③債務発生の根本的原因をなくし、人々と地球を優先するような世界金融システムの改革

国際カリタスは皆さんに、深刻な債務を背負う国々の人々とともに、変化の担い手になるよう呼びかけています。

◎債務正義を推進するための上記3点に関する請願書への署名
◎光といのち、そして希望を広める「光のリレー」の実施
◎自国政府に対するアドボカシーレターの送付

キャンペーンについてはこちらから ※署名についてのお問い合わせは事務局まで

 

ファトマタさんと債務正義を求める声

ファトマタさんはシエラレオネ東部のケネマ地区に住む、個人の金鉱採掘業者です。
彼女の声を聞いてみましょう。

「物価は非常に上がりました。学校や病院は村からの距離が遠くて通うのが大変です。 こどもたちが学ぶための教師や教材が足りません。医師や看護師、医療機器、そして医薬品も十分ではありません。」

ファトマタさんが訴えるこの状況は、国が大規模工事を行うために外国から借りた高金利の債務返済を優先せざるを得ないことから、公的な支出が抑えられていることにより起きています。学校、病院などは地域の人口分布に沿って設置する必要がありますが、
それができていないため、人々は遠くまで出かけなくてはなりません。また、学校や病院に必要な教員や医療従事者、使用する教材や医療機器、医薬品も不足することになります。

カリタスは、カトリック教会の教えに基づき、ゆとりのない国がかかえるこのような債務の返済義務のために、本来行うべき基本的な市民サービスが制限されている現状を「不正義」の状態であると考え、特に低所得国の債務を救済することを債権国などに求めています。

同時に、国際カリタス加盟団体であるCAFODは他団体とともに「女性と少女ファースト・プロジェクト」を実施しています。
このプロジェクトは、ファトマタさんのようなシエラレオネの農村部に住む女性と少女たちが、自立した生活を送ることができるよう識字教育や起業のためのスキル教育を行うなど経済的課題に対処する能力を強化することを目的としています。

債務正義の実現のために、カリタスは国レベルの債務救済を求めるだけでなく、こうした長期的なプログラムによる人々がより公平で安定した未来を築くための活動をおこなっています。

 

ミャンマー地震災害支援

3月28日にミャンマーのマンダレー近郊でマグニチュード7.7の地震が発生し、甚大な被害となりました。カリタスジャパンでは「ミャンマー地震」緊急募金の受付を行っております。これまでご協力いただきました皆様には心より感謝申し上げます。
ミャンマーの教会は長年に渡るケアの実践を通じて人びとから深い信頼を得て、被災した地域の中心に根差してきました。現地では今も道が寸断されたままであり、高温や雨季の降雨が援助活動をも困難にする中で、教会は避難した人々に食料、生活物資購入用の現金給付を行い、避難所の環境整備、被災住宅の修理、安全な水と衛生状態の確保に取り組んでいます。また、紛争や過去の災害によって何度も避難を余儀なくされ、家族や近しい人を失った悲しみや不安を抱えて暮らす人々に、いのちと心を守るケアやサポートを行っています。

カリタスはミャンマーの地域社会と連帯し、支援の一つひとつが安心をもたらし、希望を取り戻す一助となるよう活動を続けています。


避難の様子@Catholic Relief Service

 

カリタスジャパン新体制

2025年4月より、カリタスジャパンは新体制に移行いたしました。
援助部会、啓発部会を廃止し、これまで各部会で行っていた援助活動、啓発活動の審議をカリタスジャパン委員会で行うことことにいたしました。
また、ERST(Emergency Response Support Team 緊急対応支援チーム)が復興支援室からカリタスジャパンの中に移管されました。今後はカリタスジャパンERSTの名で国内の自然災害に対して被災教区が行う緊急対応、復興の取組みへの支援を教区の要請に応じて行います。

引き続きのご支援、ご協力をお願いいたします。

ERSTとは?:
東日本大震災における災害対応経験者数名で構成されたチーム。災害発生時に被災教区からの要請により現地に派遣され、災害対応が軌道に乗るまでの間、教区現地スタッフを現地調査、教区災害対策本部、ボランティアベース、そして活動の立上げ支援、人材派遣などの面からサポートします。

 

カリタスジャパンの活動にご協力ください

カリタスジャパンでは、幼稚園、学校、イベント等で活用していただける募金箱(本体、送料無料)、を用意しております。募金箱、小冊子のお申込み等、各種お問い合わせは本ページ右下の事務局へご連絡ください。

発行物(小冊子)
カリタスジャパンが過去に啓発部会として行った「自死」に関する活動をまとめた小冊子のデータなどを公開しています。ダウンロードはこちらから
冊子原本の配布も可能です(在庫限り)。

マンスリーサポーター
毎月募金くださる支援者「マンスリーサポーター」の制度があります。
個人だけでなく、家族、仲間、学校、小教区、修道院などグループでの登録も可能です。
◎募金額 自由に設定でき、変更も可能です。
◎募金方法 「口座自動振替」と「通常払込」の2つがあります。
いただいた募金は、カリタスジャパンであらかじめ決定したプロジェクトに
活用させていただきます。毎年1回、前年度の支援先プロジェクトの報告をお送りします。
(2025年3月にはオンライン報告会も実施しました。)    詳しくはこちらから

 

ケアの文化の広がりを願って、さまざまなケアの共同体とその活動について知り、つながっていきたいと考えています。
活動の様子、また「他のグループとつながりたい」などの声を事務局へぜひお知らせください。