We are Caritas No.28

 

We are Caritas No.28(2023年冬号)ができました
ご希望のかた(無料)は、事務局までお知らせ下さい。

We are Caritas 28号は、クリスマス特集号となります。内面には「カリタスジャパン 祈りのリース」として、本年度のカリタスジャパンの支援先に関する写真を飾ったリースを縦型に配置しています。リースは、12月1日から24日までのアドベントカレンダー形式となっており、リースの下には、回勅『兄弟の皆さん』(FT)の言葉*や、回勅を実践している人々の姿や話を掲載しています。すべての兄弟姉妹が、ともに、よき主のご降誕祭と新年を迎えることができますように・・・。

*抜粋とし、中略、「」等の省略、項目内の順序の入れ替えをしている箇所があります。

 

巻頭言

イエス誕生の次第はマタイ福音書とルカ福音書が伝えています。二つの福音書は、背景に相違があるものの、人の目には見えない神がマリアと呼ばれる女性から人間の姿で私たちの間に誕生されたと記述します。そこでは、偉大な神の力が当時弱いとされていた普通の女性に働き、神が人間と同じ姿でこの世界に現れたこと強調します。しかも、神が乳飲み子の姿で私たちのところへ来てくださったことを描き、弱い人、困難の中にある人々の友として、人々にくじけることなく神の愛と希望を与えるメッセージを伝えています。

イエズス会士ルイス・フロイスの「日本史」に1552年に山口の教会でクリスマスが、祝われたことが次のように書かれています。これが、文献に現れる日本で最初のクリスマスと言われています。

「祝った最初の降誕祭は、キリシタンたちに大きな喜びを与えることになった。彼等は、徹夜しに我らの家に来て、彼らに読んで聞かせるデウスのことをいつも聞きながら第二のミサまでそこに残っていた。(略)その夜をこめてデウスの賛美に過ごした。朝になると、彼らはミサにあずかり説教を聞くために来た。」

戦国、下剋上の時代、山口も決して安定したものではありませんでした。キリシタンたちは困難の中にあっても神の愛と希望の福音を聞いたことでしょう。

混迷の時代にあっても優しさを持ち、周りの人たちを思い、平和な世界への希望を持ちたいと思います。

原田豊己(日本カトリック司教協議会 社会司教委員会 秘書)

 

2023 カリタスジャパン TOGETHER WE 祈りのリース

祈りのリース(以下のテキスト付)PDF ダウンロードはこちらから

12月1日: 希望は大胆であり、個人的な快適さを、視野を狭めてしまう小さな安全や補償を、超えるものです。それは、人生をより美しく、尊厳あるものとする、大きな理想に開かれるためのものなのです。希望のうちに歩みましょう。<FT55>【写真】こどもの里(大阪・釜ヶ崎地区)で出会った男の子が描いた絵 ©taishin.k/Caritas Japan

12月2日:いのちがあるのは、きずな、交わり、兄弟愛のあるところです。人間は、余すことなく自分自身を与えないかぎり、自己実現も成長もなく、充足も得られないように造られています。<FT87>【写真】高齢者や国内避難民が毎日120人程度訪れる無料食堂(カリタススペス、ウクライナ) ©Caritas Internationalis

12月3日:ジャパ州カンカイのシタ・ダカルさんは、家庭菜園の作物とマレーシアで働く二男からの仕送りで7人の家族を支えていましたが、カリタスネパールの「総合的病害虫管理トレーニング」に参加後、家庭菜園を広大な農場にするとともに、水田耕作も拡大しました。同時に水牛やヤギ農法を導入してミルク販売も始め、一家の収入は増え、安定しています。今では息子たちも、外国に行く代わりにネパールで生計を立てようと決意しています。【写真】育てた作物を手にするシタ・ダカルさん © Caritas Nepal

12月4日:わたしたちは、他人に、とりわけいちばんの弱者に対し、無関心でいる誘惑に取り巻かれていることを知る必要があります。発展した社会において、もっとももろく弱い人々に寄り添い、世話をし、支えることには無知なのです。<FT64>【写真】2月に起きたトルコ南東部地震で直ちに救援活動を開始したカリタスシリア ©Caritas international

12月5日:インド、テランガード州のプロジェクトでは、シードボールづくりをすすめています。シードボールは種子を土で包み乾燥させたもので、虫、鳥など、種子の捕食者から守るとともに、粘土の中で栄養やミネラルを蓄えることができます。空き地や荒地にこのシードボールを投げ込めば、自然に近いかたちで芽が出て花が咲きます。森林を回復することは、気候変動に対する最も効果的な解決策です。【写真】皆で作ったシードボール ©Caritas India

12月6日:いわゆる下町のような地域では、今も「向こう三軒両隣」の精神を生きています。近所の人とつきあい、支えるという義務感を、それぞれが自然と抱くような場所です。そうした地域社会コミュニティの価値観が残る場所では、この界隈の「わたしたち」という感覚で、無償性、仲間意識、相互扶助を特徴とする近所づきあいが続いています。<FT152>【写真】放課後のこども食堂で出されたフルーツサンド ©那須子ども食堂「ザ・テーブル」

12月7日:社会平和は、骨の折れる手仕事です。重要なのは、出会いのプロセスを、違いを受け入れることのできる民を築くためのプロセスを生み出していくことです。子どもたちには、対話という武器を装備させましょう。出会いという優れた格闘を教えましょう。<FT217>【写真】テルノーピル(ウクライナ)で行われた子ども向けサマーキャンプ ©Caritas international

12月8日:インド出身のSr.グレーシーは、紛争が続く南スーダンで病院や助産師学校、農村開発センターを設立し、多くの人の生活を支えてきました。彼女は、女性や子どもを支援する理由を、女性や子どもを強くすることは、社会全体を強くすることにつながるから、と語ります。
【写真】マラリアの熱から回復した、生後6か月のマルアル君とSr.グレーシー ©Caritas international

12月9日:自由、相互尊重、連帯という価値観は、ごく幼少期から伝えることができます。わたしたちには、すべての人が尊厳をもって生き、十全な発達のための適切な機会が得られることを保障する責務があるのです。<FT114、118>【写真】カリタスモンゴルが運営するデイケアセンターで、保護者から手作りの教材をプレゼントされた教員と子ども ©Caritas Mongolia

12月10日:ウクライナで戦争が始まったその日から、ウクライナのスタッフは、日々たゆまぬ支援を続けています。ネットワークを拡げ、ウクライナ全土で37のカリタスセンターと181の緊急避難所で、食料と飲料水などの配給からトラウマ治療や難民支援にも及んだ活動を継続しています。様々なスタッフが、昼夜を問わず戦争で被災した人々をケアし、ともにいのちの危険と向き合いながら、心血を注いで苦しみを和らげるために働いています。【写真】摘んだ野の花を胸に抱くカリタスウクライナのスタッフ ©Caritas international

12月11日:異なる生活・文化の背景をもつ多様な人々の到来は、贈り物となるのです。若者の皆さんにとくにお願いします。自分たちの国に来たよその若者に対抗して、彼らを危険な存在、あたかも彼らには万人が有する不可侵の尊厳がないかのように見せようとする者たちの、策略に陥ってはなりません。<FT133>【写真】リスボンで行われたワールドユースデーに参加した、カリタスユースのメンバー ©Caritas Internationalis

12月12日:だれも除外されたままでいることがないようにしなければなりません。女性であるがゆえに権利が制限されることが許されないのと同じく、生まれた場所や住んでいる場所で、尊厳ある生活や発展のための機会が減ってしまうことも容認できないのです。<FT121>【写真】カラチ(パキスタン)で気候変動のデモ行動に参加する母子。「女性のエンパワーメントが気候変動を止める鍵」 ©Caritas Pakistan Karachi

12月13日:未来はモノトーンではなく、各人による多種多様な貢献によって実現するもの(なのです)。わたしたち人類家族にとって、皆が同じようになるのではなく、調和と平和のうちに共存すべきだと学ぶことが、どれほど必要でしょうか。<FT100>【写真】設立式で伝統音楽に合わせて踊る女性たち ©JASA「日本アフガニスタン支援の会」

12月14日:社会でのいちばんの弱者は、当たり前になってしまった不公平によって幾重にも傷つけられています。友となるほど近くにいること、それによってしか、今日の貧しい人々の価値観、彼らの正当な望み、そして彼らなりの信仰の生き方を、深く理解することはできません。<FT234>【写真】カリタスウクライナから配られた新鮮なパンを受け取る男性©Caritas international

12月15日:隣人に気づくため、また道に倒れた人のそばにいるために、どうすれば立ち直ることができるでしょうか。わたしたちを包み込んで支える世界を大切にすることは、わたしたち自身を大切にすることです。同じ家に住む「わたしたち」にならなければなりません。<FT16、17>
【写真】2023年2月に起こったトルコの地震で、互いの無事を確認する隣人たち ©Caritas Internationalis

12月16日:どの戦争も必ず、世界を、かつての姿よりもいっそう劣化させます。暴力の犠牲者が伝える真実に意識を向け、彼らの目を通して現実を見つめ、開かれた心で彼らの話に耳を傾けようではありませんか。<FT261>【写真】カリタスウクライナから贈られたヒマワリの種 ©Caritas Japan

12月17日:干ばつが続くケニア北部のエル・ボル村では、女性や少女たちが水を汲むために30-40キロを歩き、ほぼ枯れた井戸で4日ほど過ごします。このことが特に少女たちの教育の機会を奪い、早く結婚してしまう可能性を高め、人生に致命的な結果をもたらします。カリタスが協働して建てた給水所では、ボタンを押すだけで直接水を汲むことが可能になり、女性に安心を与えるだけではなく、550世帯の入浴、洗濯、家畜の飼育に使われています。【写真】Sebastian Haury/Caritas international ©Caritas international

12月18日:他の痛みに無関心で生きるという選択はありえません。だれかを「人生の隅」に放ったままにしておくことは許されないのです。そのことに憤らなければなりませんし、人間の苦しみに動転するほど心乱されるべきなのです。それが尊厳なのです。<FT68>【写真】きれいな水を汲むバルカル難民キャンプ(バングラデシュ)のロヒンギャの少年 © Caritas international

12月19日:わたしたちは無償でいのちを受けました。いのちを得るのに支払いはしていません。だからわたしたちは皆、何ら期待せず、与えることができるのです。助ける相手に見返りを求めることなく、よいことができるのです。<FT140>【写真】漁港でのボランティア作業 ©カリタス南三陸

12月20日:必要なのは、さまざまな表現手段と社会参画です。教育は、人間一人ひとりが自分の将来の設計者となるためにあるのです。わたしたちは、尊重することの大切さ、いかなる違いも受け入れる愛、その人の考えや思いや習慣がどんなものであっても、またどんな罪があろうとも、すべての人の尊厳を第一にすること-それらを生き、教えるのです。<FT187、191>【写真】チッタゴン丘陵地帯(バングラデシュ)の小学校で、新しい教科書を手にして喜ぶ子ども ©Caritas Bangladesh

12月21日:わたしたちは、仕える教会、家から出ていく、聖堂から出ていく、香部屋から出ていく教会になりたいのです。いのちに寄り添い、希望を支え、一致のしるしとなるために、橋を架け、壁を壊し、和解の種を蒔くためにです。<FT276>【写真】カリタススタッフと遊ぶモロッコ地震で被災した子どもたち ©Caritas Morocco

12月22日:教会としてわたしたちが歩んでいるシノドスの旅は、もっとも弱い立場にある人々――大勢の移住者や難民もそこにいます――を、兄弟姉妹として愛を注ぎ配慮すべき、旅路の特別な仲間と見るよう促しています。<第109回世界難民移住移動者の日 教皇メッセージ「移住かとどまるかを選択する自由」>【写真】故郷へ戻る500人の難民(南スーダン) ©Caritas Internationalis

12月23日:すべての人は兄弟姉妹-この主張は、それが抽象にとどまらず肉を得て具体化すると、幾重もの課題を提示してわたしたちに考えを改めさせ、新たな視野をもって新たな対応を展開するよう突き動かします。<FT128>【写真】国際カリタス総会2023の公式ロゴ。テーマ「友愛への新しい道すじをつくる(仮訳)」 ©Caritas Internationalis

12月24日:よいサマリア人の物語は繰り返されます。イエスは、人間の心のいちばんよいところを信頼しておられます。だからこのたとえ話をもって、愛にとどまるようにと、傷ついた者を立ち直らせ、その名にふさわしい社会を築き上げるようにと、励ましておられるのです。<FT71>【写真】トルコ地震で被災した子どもが描いた絵 ©Frezza Francesca/Caritas Internationalis